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BleuCiel(別館)

気の赴くままに

【ポケットモンスター】輝く舞台で彼女たちは舞う【SS】

SV×アニポケ。アニポケから数年後。
SV双子主人公。
アオイはコンテストに興味有。
シュウ、ハルカ。



 輝く舞台で彼女たちは舞う


「やっと着いたー!」
「賑やかだね」
「それはどっち?」
「何が?」

 ハルカは背伸びをする。飛行機での移動で固まった体を存分に動かした。シュウも軽く体をほぐす。オモガタにコンテストバトルのエキシビションマッチをしてほしいと頼まれ、二人はパルデア地方に足を踏み入れた。パルデア地方のポケモンバトルの普及に勤しむオモガタが学園一コンテストに詳しいかもしれないアオイから話を聞き、ハルカとシュウに白羽の矢が立った。その話を受け、ハルカはマサトにパルデア地方についての話を聞いた。彼は武者修行の一環として、パルデア地方に赴いたことがある。

 *

 バトルコートにハルカとシュウが向かい合って立つ。喧騒のなかに緊張感が漂う。テラスタルも活用したコンテストバトルは初めてだ。一日調整の猶予はもらったが、どのように作用するかは誰にも分からない。二人は覚悟のうえで引き受けた。……むしろ未知の現象に心を躍らせる。

「こういうステージも悪くないかも!」
「たしかに、新鮮な舞台だ」

 最前でバトルの行方を見守るアオイは口を開けている。第一線でコンテストの舞台に立っているコーディネーターを、こんなに早くしかも間近で見られるとは夢にも思わなかった。審査員はいない。制限時間もなくポケモンバトルに近いコンテストバトルになってしまうが、二人も事前に承知の上だ。旅に出て早々に諦めてしまったが、ハルカはいちトレーナーとしてシュウと対戦出来ることに胸を弾ませる。コンテストバトルがある以上、シュウもポケモンバトルの腕がいい。オモガタが二人の間に立ち、試合開始を宣言する。

「バトルスタートです」
「バシャーモ、ステージ・オン!」
「Gо、フライゴン」

 日中の屋外でのステージ、各々のポケモンの魅力が際立つように手入れした。バシャーモとフライゴンはパルデアの地で華麗に舞う。観客は感嘆の声を漏らす。先制攻撃はハルカからだ。バシャーモが脚を活かして攻撃を繰り出す。一見バトルでは無駄に思える動作も、コンテストバトルでは立派な戦法だ。一進一退の攻防が続く。ハルカもシュウも、そして二人のポケモンも楽しそうだった。椅子取りゲームではない純粋なバトルは二人にとってあまり縁がない。シュウとフライゴンが組み立てた強固な盾をハルカとバシャーモが打ち砕く。その戦法は現在のバトルフィールドを活かしたダイナミックな演技だ。
 シュウの表情は明るい。彼は彼女のライバルでもあり、ファンでもある。初めての出会いからハルカは急激に成長した。ハルカの歩みは順風満帆だった訳ではない。己の奢り、純粋な実力不足、コンテスト以外でも仲間と旅をしていくうちに喧嘩や思い通りにいかないこともたくさんあった。《その過程》を少しばかり見ているシュウは、いつの間にかハルカを格下のコーディネーターとして接することはなくなった。ライバルでありファンであるのはお互い様。自分では出来ないことをやってのけるライバルを尊敬していた。

「シュウとフライゴン最高かも!」
「まったく、きみたちはいつもそうだ」
「えへへ」

 アイコンタクトを取る。そろそろ新しい魅せ方を披露するときがきた。二人は特別に支給されたアイテムを手に取る。モンスターボールのような《それ》は、二人の瞳と同じような輝きを放つ。風圧に耐え、次のステップへ進む。パルデア地方でポケモンコンテストはまだ開催されていない。ようやくポケモンバトルが盛り上がってきたところだ。ほかの地方で開催されている規模のポケモンコンテストを望むのは時期尚早だろう。

「「――テラスタル!!」」

 パルデア地方特有の現象。
 二人はテラスタルオーブをポケモンに与えた。テラスタル化したポケモンは、一時的にタイプを変えることも出来る。二人がどのテラスタルタイプを選ぶかは事前に知らされていない。ハルカはバシャーモのタイプである炎や格闘ではなく、ノーマルタイプを選択した。テラスタルの話を聞いたときに、彼女の選択肢は決めていた。それはジムリーダーである父のセンリを尊敬しているから。コーディネーターの道を選んだとしても、旅をすればするほどセンリの偉大さを知る。
 バシャーモもフライゴンも輝いている。宝石のようで綺麗だ。二人は思わず見とれた。観客の歓声にはっとして、コンテストバトルに意識を戻す。まだバトルは終わっていない。むしろ再始動だ。知らない土地で、知らないポケモンや生態、現象に触れ知見を得る。旅をして得たすべてが二人の糧になる。二人は口角を上げ、ポケモンに指示を出した。勝負はまだ決まりそうにない。


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