アニメ版ブルードラゴン。二期。
アンドロポフ×クルック。
その眼差しの先に在るものは
「(やめろ!)」
アンドロポフは飛び起きる。全身から汗が吹き出し、呼吸も荒い。もしかしたらあったかもしれない、これからあるかもしれない悪夢。兵士であることをやめた彼にとって、今もっとも避けたい出来事だった。
「クルック?」
長年同棲している少女がベッドにいない。彼は気分転換を兼ねて、クルックがいるであろう外に出た。軽く汗を拭き、念の為に上着を持っていく。近頃のクルックは夜も寝ずに、星が散りばめられた夜空を見上げていることが多い。
「…………」
「クルック」
「おはよう。なんてね」
クルックはアンドロポフに冗談を言いつつ、上空に浮かぶ星から目を離そうとしない。
「最悪な目覚めだったよ」
おどけた口調で告げ、クルックの隣に座る。彼女の手に触れると、とても冷たかった。クルックは気にする素振りを見せない。夜にしては薄着だった。彼女は取り憑かれたかのように、夜に浮かぶ星を眺める。
「風邪引くぞ」
アンドロポフは持参した上着をクルックに羽織らせる。ここでようやくクルックはアンドロポフを見た。彼女は微笑む。アンドロポフはクルックを抱き寄せた。彼は怖かった。彼女も掌からこぼれ落ちてしまうのではないかと。
「アンドロポフ?」
「どこにも行かないでくれ」
「それはお互い様、でしょ」