アニメ版ロックマンエグゼ。未来捏造。
熱斗視点。
熱斗、炎山。
『全力少年』
「熱斗、久しぶりに勝負するか?」
「久しぶりに会ったかと思えばそれかよ。炎山だって仕事が忙しいんじゃないか?」
「わざわざ時間を取ってやったんだ」
光博士の息子、その肩書きは思ったよりオレにプレッシャーをかけていた。オレが思うより父さんはずっと凄くて、今の時代の基礎を創ったじいちゃんも偉大で、同じ道を進むときに初めて気がついたこともたくさんある。
オレが目指すべき場所は見えているのに、その過程がまったく見えない。進んだかと思えば、どこかでエラーが起こりやり直しの繰り返し。まるで雲を掴むような作業が続いて、家に帰ることもあまりしなかった。突然炎山が科学省に来たかと思えば、ネットバトルをしようなんて持ちかけてきたものだからコーヒーを吹き出すかと思った。
「昔のお前ならすぐに食いついただろうな」
「昔だったらな」
『熱斗くん、久しぶりにしてみない?』
ロックマンからの催促が入る。そういえばロックマンと一緒にネットバトルをすることも滅多にしなくなった。忙しくてそれどころじゃない。でも、わざわざ炎山が来てくれたんだ、土産もなしに帰らせるほどひねくれてはいない……はず……。残りのコーヒーを飲み干して、席を立った。あれだけ曇っていた視界も、ロックマンと一緒にどう戦うか戦略を組み立てていたら先が見渡せるようになる。