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BleuCiel(別館)

気の赴くままに

【RKRN】SS集

忍たま乱太郎。
SS(掌編)まとめ。随時更新。



 (現代パラレル,つどい設定有/きり丸)


 きり丸は新聞配達のアルバイトをしていた。休憩がてら自転車から降りてひと息つく。赤く染まった空を忌々しげに見上げた。
「(……ただの夢なのに)」
 その夢を彼は何度も見て、はっきりと記憶している。舞台は現代よりもずっと昔、ささやかに暮らしていた家族が炎に飲み込まれる夢。
 彼の金銭事情ならば、学生である彼が無理にアルバイトをする必要はない。小学生の頃はさすがに親に反対されたので、家のなかでできることをしていた。友人や兄と遊ぶか、親の手伝いをするか。
 手伝いの代わりに勉強は少しおざなりになりがちだったので、兄の手を借りて涙目になりながら宿題をすることも多々ある。
 働かざるもの食うべからず――誰かに教わった訳でもないのに、いつのまにか《それ》は癖として彼に染みついていた。
「もうひとっ走りしますか」
 きり丸は気持ちをリセットして再び自転車を漕ぐ。この日は親友と遊ぶ約束をしていた。そのことを考えると、苦手な赤い空も大切な景色に変わる。



 (成長/きり丸)


「(昔に戻れたら……なーんて思いもあるけど)」
 きり丸の足元には気絶した敵が転がっている。万が一にも目が覚めてもいいように手足は縄でくくった。
 上級生にもなると実戦の機会も増える。彼らは箱庭から巣立つ準備を着々と進めていた。
「早く終わらせて帰るぞ~」
 彼は周囲に人がいないことを確認してから背伸びをした。気絶している敵を依頼主に引き渡したら彼の課題は終わる。
 は組のみんなと課題をこなす機会もずいぶんと減った。代わりに単独行動やくのたまとの共同作業は少しずつ増えていく。
 くのたまに対しては相変わらずいいようにやられることも多いが、彼女たちもさすがに時と場合は弁えている。
 年齢が上がるにつれて、そういう場所へと駆り出されることも増えていくのだ。くのたまとの駆け引きが起こるのは、すなわち安全な場所であるという証拠でもある。


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