※途中※
魔導ぷよ。
ドッペルゲンガーアルル、あやしいクルーク(マモノ)。
(タイトル未定)
マモノは悩みぬいたあげくに例のごとくクルークの体を借りてディーアの元に向かう。彼女は以前に一度だけ対話をしたことがあった。それからは会話らしい会話をしたことはないが、気配を探るぐらいマモノにとっては朝飯前だ。
〈ばよえ~ん〉の魔導を教えてほしい、要件を伝えているあいだマモノは苦虫を噛み潰したような顔をする。ディーアはそんな彼を見て忍び笑いを浮かべた。
「おかしな人」
「……なんでもない。今のは忘れてくれ」
「え? 体を乗っ取ってまでわざわざここまで来たのに?」
「…………」
マモノは魔導を放つ準備をする。からかいすぎたことを悟ったディーアは両手を合わせて上目遣いで彼を見た。
「ごめんごめん。ボクも最近は使う機会がめっきり減ったけど、それでもいいのかい?」
「かまわん」
「だったら、いちいち彼の体を借りるのも大変だよね……」
ディーアはしばしのあいだ思案して、口角を上げた。彼女の知り合いでなんとかできそうな人はいる。おもしろいことが好きなカーバンクル狂に狙いを定めて相談することにした。
彼女の目論見通りにサタンは二つ返事で彼女の案に乗る。こうして〈ばよえ~ん〉の魔導を練習するときにだけ、マモノはクルークの体を借りることもなく実体化することができるようになった。
放浪人である彼女もしばらくのあいだはプリンプに残る。《記憶のなかにある彼女》はよく使っていた。しかし、現在の彼女はほぼ使っていない。本来はアルルやアミティに聞くのが手っ取り早いかもしれないが、マモノの立ち位置で彼女たちに聞くのははばかられた。
アミティたちに見つかった際には騒ぎになってぷよ勝負に発展する、マモノはそう確信する。何よりも彼の半身と遭遇するタイミングではないと感じていた。
「よろしくね。紅いキミ……なんて呼べばいい?」
「好きなように呼べばいい」
「分かった。こっちも準備があるから後日連絡するね」
「頼む」
マモノはその場から消えた。ひとり残されたディーアは試し打ちをする。