ボボボーボ・ボーボボ。ボボステベース。
ビュティ、ボーボボ。
あと
座るのにちょうどいい岩に腰を下ろして少女は背伸びをする。彼女がいる場所は人の気配がせず、しんと静まり返っていた。目下の大きな脅威はボーボボを中心に総力戦で振り払い、世界につかの間の平穏が訪れる。
「ん-、疲れたー」
ビービビを倒したボーボボ一行は祝勝会を盛大に開きお互いを労る。なぜかダメージを受けているような者も見受けられるが、おそらく気のせいだろう。ビービビ戦の傷が癒えていないだけだ……多分。
はたから見れば地獄絵図にも思える光景も、本人たちにとってはなんてことのない触れ合いの時間だ。型にはまらない者が多いせいで混沌になっているだけで祝勝会を行っている場所を壊してはいない。
ビュティはひとりで物思いにふける。彼女は戦いの痕が残る首筋にそっと触れた。ビービビの手は彼女の手と違いたくましかった。その気になればすぐに彼女の華奢な首は折れただろう。敵意を直に受けて慄然とするが後悔はない。
『なぶり殺してやる……!』
『……っ!!』
守ってくれる者はいない。コンマの力を使い果たしたビュティはビービビの攻撃を受ける。力を使い果たした少女に抗うすべはない。そもそも大部分が借り物の力だ、ビービビにダメージを与えられたのは彼女の力だけではない。
「ビュティ」
「……、ボーボボ」
「お疲れさん」
「ボーボボもお疲れ様」
ボーボボがビュティの隣に座る。どんちゃん騒ぎもようやく落ち着いてきた頃だろうか。荒廃した世界をひとりで生きるビュティにとってボーボボは希望の星だった。そんな彼と一緒に旅をした彼女は個性的な仲間との交流も深める。
同世代の仲間もできた。生き別れの兄とも再会できた。波乱万丈な旅路にもひと区切りつき、宴会が終わってしまえばパーティーを離脱する人も出てくるだろう。命懸けの戦いは避けたいが、仲間たちとハジケる時間はかけがえのない宝物だった。
「怪我は大丈夫か?」
「それはお互い様でしょ」
「それもそうだが……」
ボーボボは言葉に詰まる。ビュティが相当危ない状況だったことは、ヘッポコ丸やソフトンの反応で知ることとなる。ひとり旅同士が仲間となり、慣れていないゆえにすれ違うことが何度もあった。
「それにこうして宴会できたんだし、終わりよければすべて良し、かな?」
ビービビの圧倒的な強さを前にしてビュティは恐怖で膝が震えていた。それでもベーベベと破天荒がボーボボを連れ戻してくれることを信じて精一杯の時間稼ぎをする。その先に待っているものが今と違う未来だったとしてもビュティは前線に出た。
「ボーボボ、手を貸して」
「?」
「……あったかい」
「そ、そうか」
ビュティはボーボボの手を自分の首筋に当てた。人肌の温もりと鼓動が彼女が目の前にいることの何よりの証明となる。彼女の突拍子のない行動にさすがの彼もうろたえる。
「(護り切れたんだな)」
彼はボボ美になって茶化すことすら忘れていた。ビュティの表情があまりにも儚くて、彼は彼女の作り上げた空気に飲まれる。決して奇麗とは言えないボーボボの大きな手のひらを彼女は堪能した。
しばらくしてから彼女は彼の手を離す。一瞬あのときの光景がフラッシュバックしたがボーボボの手はビービビのように力強くもあり、ビービビと違って優しくもあった。いくどとなく非戦闘要員の少女を守ってくれた手のひらは彼女のトラウマを癒す。
「ありがとう!」
「お、おう」
◆後書き◆
続くかもしれないし続かないかもしれない。書きたい所は書けた。ハジケ? つけものと一緒にどっかに行ったよ。
我、基本的にギャグは書けない人間ですHAHAHA。
澤井先生、ほのどんの続きが見たいです…。以前はスルーしたボ展も行きたいです…。