xbox版ブルードラゴン。
シュウ、ジーロ、クルック。
「ごめんシュウ、魔法使い過ぎちゃったみたい」
「あんまり無理すんなよ。ジーロ、薬は?」
「もうないよ……」
ひょんなことから魔法を扱えるようになった三人は、モンスターと対峙していた。タタの村とも遠く離れてしまい、モンスターがはびこる広大な大地を歩んでいた。一言で魔法といっても、三人の得意分野は違う。シュウは影を発動するものの魔力の消費は控えめだ。一方のクルックは攻撃をほぼ魔法で賄っている。遠距離から放つことが出来るのは利点だが、MPの消費がシュウと比べて激しいのが難点だ。さらには慣れない魔法で、クルック自身も効率の良い出し方をまだ把握していない。それでも広い攻撃範囲は魅力的で、彼女も初心者ながらある程度の攻撃魔法を扱えるようになった。
「あたしも前衛で、」
「「駄目だ!!」」
シュウとジーロに食い気味で拒否され、クルックはしぶしぶ引き下がる。休んでいれば少しずつMPは回復するが、連戦や複数モンスターとの戦闘になると回復分もすぐに使い再びMPが枯渇した。戦闘をこなしていくうちに、シュウの攻撃でなんとかなることも多くなる。ジーロもクルック寄りの性質だったが、彼女と違い、どちらかというとヒーラータイプだ。回復はアイテムでも出来るので、魔法を使わないときもある。そんなときはクルックと共に魔法で攻撃するが、彼女に比べ攻撃力は控えめだ。
「(――あのときだって)」
クルックは地鮫に両親を奪われた。『大丈夫』と言って去っていく両親の背中を眺めることしか出来なかった。今回も幼馴染二人だけで地鮫に立ち向かおうとしていた。前回の二の舞になるのが怖くて、クルックも地鮫退治に参加する。今だって、本当は横一列で戦いたい。クルックのなかでは、背中を眺めることと永遠の別れが直結している。しかし、クルックの戦闘スタイルに前衛は適さないことも理解していた。今は今、――自分に言い聞かせて、ジーロと共に後衛で戦う。今のクルックに出来ることは、より早く戦闘に戻るためMPの回復に専念することだ。いつか二人を守れるように。もう二度と大切な人を喪わないように。