忍者ブログ

BleuCiel(別館)

気の赴くままに

【ポケモン×RKRN】海の果て【SS】

ポケットモンスターAGと忍たま乱太郎のクロスオーバー。
アニポケ基準。AGから数年後。
ハルカ、カナタ、しんべヱ。



 海の果て


 しんベヱはゴンベとともに船から地上に移動する。周りの人からの愛情を素直に受けた彼はしっかりとした足取りでゴンベを先導した。ゴンベは彼の後ろを歩く。
 カントー地方に拠点を置くフクトミはホウエン地方の港町のひとつ、ミナモシティにフクトミの主が数日間滞在することとなった。息子のしんベヱは学校の長期休暇を利用して父に帯同する。しんベヱの妹のカメ子はカントー地方にお留守番だ。
「パパ、行ってきます!」
「気をつけてなー」
「はい!」
「ゴーン」
 ホウエン地方でも三本の指に入ると言われている規模のデパートだけでなく、コーディネーターからの評価が高いポロック屋、そんなポロックの原料となる質のいいきのみが揃っていると言われるミナモシティの市場、海の玄関口は賑わっている。
「美味しそー」
「ゴーン」
 しんベヱもゴンベも必死にヨダレを抑えながらきのみを眺める。船旅の直後の新鮮な木の実は食欲をそそるのに充分だった。
「あった!」
「……ゴン!」
「あっ、ゴンベー!」
 誘惑に耐えてたどり着いた先はポロックを販売する店だ。せっかくのホウエン地方、カントー地方ではあまり見られない物を友人へのお土産にすると決めていた。
 お高くまとまることもなく、特にポケモンに喜んでもらえそうな食べ物の一種だ。そんなポロックの山で耐えきれなくなったゴンベはご馳走の気配を嗅ぎ取りお店の外に出る。
「ゴーーーン!!」
「…………、ゴン?」
「わわっ、ゴンベ!?」
 ちょうどゴンベにポロックを渡そうとしていたハルカの目の前にしんベヱのゴンベが高速移動顔負けの早さで現れた。普段はしんベヱと同様におっとりしているゴンベだが、食のことになると一変する。
「ゴンベーーー、待ってよーーー」
 しんベヱが息もからがらに追いついた。ハルカはすぐに察してしんベヱのゴンベにもポロックを渡す。ゴンベは彼女お手製のポロックをおいしそうに食べた。
「(ゴンベだけずるいよぉ)ありがとう……ございます……」
 ぐうぅ。
 しんベヱのお腹の虫が鳴る。彼ははにかむ。ハルカは自分のゴンベにもポロックを渡すと、視界に入った時計で時刻を確認する。ハルカも小腹が空いた。
「今度はわたしたちの番ね。あなたは誰かと食べるの?」
「パパは忙しいからぼくだけで食べるつもりです」
 ぐうぅ。
 木の実が相当おいしそうだったのか、彼が口を開くたびにお腹が抗議の声を上げる。息が整ったと思ったらこれだ。
「おまたせー!」
 お店の方向から声が近づく。ポロック屋の看板娘であるカナタだった。ひょんなことから知り合い、そこからずっと関係が続いている。カナタはしんベヱを見て内心で首を傾げた。
 彼女が知らないはずの見慣れない男の子。しかし初対面ではないような気がした。
「キミ、ハルカの知り合い?」
「さっき会ったばっかりかも。この子のゴンベがわたしのポロックの匂いを察知したらしくて」
「へぇ……なかなかの逸材ね」
「で、一緒にどうかなって」
 ここでようやくお互いに自己紹介をした。しんベヱの名前を聞いたカナタは脳に保存している単語を引っ張り出す。答えにたどり着いたときに彼女は思わず声を上げる。
「……福富ぃ!? も、もしかして福富屋のお坊ちゃま!?」
「はい!」
 ポロック屋を経営している両親のお手伝いを率先して行っているカナタは、福富屋がこの地に来ることを耳に入れていた。あまりに特徴的な名前と写真で見たしんベヱの父親としんベヱの雰囲気が似ている。
 友人を通じて言葉を交わすことになるとは思わなかったので、カナタはひとりで挙動不審な態度を取りハルカはそんな彼女を不思議がる。


◆◇参加中◇◆
にほんブログ村

拍手

PR

コメント

プロフィール

HN:
智美
性別:
非公開

P R