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BleuCiel(別館)

二次創作、時々一次創作置き場。イラストも?

【ブルードラゴン】選んだ未来は/1【SS】

アニメ版ブルードラゴン。二期数年後。
妄想設定、年齢操作有。
クルック、ゾラ。



 選んだ未来は/1


「置いていかないで!」
 ゾラは飛び起きる。父が――シュウたちがゾラの目の前から消える夢。キラーバットもいない、ただの子供になったゾラに大切な人たちが消える手段を止める手立ては持ち合わせていない。窓から見える星々がゾラを落ち着かせた。ゆっくりと呼吸を整える。第二の家は彼女の安心出来る場所だった。それでも再び一人で寝る気になれない。彼女はドアを開けて、忍び足でクルックの部屋に入る。
「お邪魔します」
 クルックの部屋には、数年前から再開した趣味兼村人からの依頼で集まった機械が転がっているときがある。基本的に物は整理されているが、たまに投げっぱなしのときもある。ここに住み始めた頃のゾラは何度か足に当たってしまうこともあった。念のために電気をつける。
「お姉ちゃん」
 ゾラは眠っているクルックの手を握る。訳あってゾラが今の子供の姿で目を覚ましたとき、クルックはまだ深い眠りのなかにいた。遠い場所からゾラやシュウたちをテレポートしたクルックは、数日間眠り続けていた。ゾラはクルックの寝顔を見ると胸騒ぎがする。このまま覚醒することはないのではないか、父のように遠くに行ってしまうのではないかと。クルックの手は温かい。ゾラは彼女に話しかける。
「お姉ちゃんは一緒にいるよね?」
「……ん……ゾラ?」
 それは少し前に、ゾラがシュウたちと交わした約束だった。父のように遠くに行ってしまわないように。クルックが目を覚ます。まだ寝ぼけているクルックを、ゾラは抱きしめる。ゾラの体は震えていた。クルックは優しく頭を撫でる。彼女はまだ完全に起きていないが、ゾラが孤独に怯えていることを理解した。ゾラはひとりになることを酷く怯えるときがある。今の彼女はシュウたちと旅をしていた頃の――キラーバットと出会う直前の記憶で止まっている。
「ゾラったら……。ねぇ、アンドロポフのところに行こっか」
「はーい!」
「(いつかは終わる。でもまだそのときじゃない)」
 夜中にも関わらず、ゾラは日中のようにはしゃぐ。かつてのゾラでは見られなかった一面を、彼女たちはたくさん見てきた。クルックは背伸びをして体を起こす。ゾラもクルックも悪戯っぽい笑みを浮かべ、お互いの顔を見合わせた。かつては軍に所属していたアンドロポフ、現役を引退してずいぶん経つ。ただ昔の名残なのか、気配で目を覚ますことがあった。平和な攻防戦が始まる。


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