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BleuCiel(別館)

気の赴くままに

【カブトボーグ】SS集

人造昆虫カブトボーグV×V。
SS(掌編)まとめ。随時更新。



 (勝治)


 ボーグバトルは楽しい。それと同時に怖い。他人より少し体が弱くて、いつできなくなるか分からないから。ぼくの生きがいであると同時に、寿命を削る諸刃の剣。死神にぼくの蝋燭を見せてもらったときに悟った。長くはないんだって。それでも構わないと思うぼくはおかしい?
 ……嘘。命をかけて守った女の子の笑顔も大切。ボーグバトルはやめられないけどね。



 (デスバレー編妄想/勝治)


「命だけは見逃してあげるよ」
「お断りします!」
 勝ち目は薄いかもしれない。連戦の疲労が着実にたまっているのか、体は少しずつ悲鳴を上げる。
 今まではそばに誰かがいた。今は一対一の戦いだ。
「どうして?」
 敵は首を傾げる。分からないだろうね、君とは似ているようで、根幹はまったくもって違う。
「リュウセイくんやケンとボーグバトルしたいから。二人がいなかったら、ぼくが生きてる意味なんてない」
 体のせいで好きなことから離れるのは最終手段だ。ボーグ伯爵との一件でますますそう思うようになった。
「変なの」



 (勝ヒナ)


「ヒナーノ……好きだ」
 出てきたのは、使い古された言葉。日本語は勉強中の彼女に分かりやすく伝えようとか、そんな気遣いは含まれていない。好きな人の前では積み重ねてきた本の山も、ただの紙切れに変わる。
「ワタシも、好き。……カツジ!」
「ひ、ヒナーノ!?」
 ヒナーノはぼくに抱きつく。ヒナーノの肌はぼくと違い、日に焼けている。いつにも増して自分の肌が白く見えた。
「本当にぼくで良いの?」
「ワタシもたくさん悩んだけど、決めたの」
 ヒナーノの手の力がわずかに強くなる。ヒナーノと距離を置こうとも思った。悟られたリュウセイくんたちに問いただされた。それはそれは久しぶりの大喧嘩だった。ぼくはヒナーノを抱きしめ返す。死神のお迎えが来るまで、ぼくはやりたいことをひとつずつこなしていく。


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