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BleuCiel(別館)

気の赴くままに

【ボーボボ】Con anima*4【SS】

emojiサイレント修正有
続きもの
ほんのり!どんぱっち/ふわり!どんぱっち。
ナメ郎とポコミの関係について少しだけ言及。
ヘッポコ丸。



 Con anima*4


 ヘッポコ丸はゴールネットを揺らす。首領パッチから衝撃的な事実を聞いたとて世界はそう簡単に変わらない。今日はアルバイトではなくて部活に精を出していた。チームのシューターとして部活のスタメンで活躍する。チームメイトが声をかけた。
「ヘッポコ丸ナイシュー!」
「へへっ」
 彼らはハイタッチを交わす。見学していた人たちから黄色い声が上がった。大半の部員はその声に反応する。ヘッポコ丸も大半の部員のなかのひとりだった。そんな彼が密かに想っている少女はこの場にいない。
 首領パッチとどこかに散歩でも出かけているだろうか、それともクラスメイトと遊んでいるのだろうか。ヘッポコ丸とビュティの初対面のときにも首領パッチは当たり前のように彼女のそばにいた。
 この世界ではあまり見かけない存在だったとしても、彼女のそばでは空気のように溶け込む。むしろ初対面でビュティに一目惚れしたヘッポコ丸のほうがよっぽどぎこちなかった。
「(どこまでが作り話か分かんないんだよなあ)」
「ヘッポコ丸ー、このあとどっか行くかー?」
「いや、ポコミを迎えに行く」
 ヘッポコ丸は首を振る。帰り支度をするあいだに彼は妹にスマホでは呼び出されていた。彼の友人であり部員は事情を理解して笑顔で送り出す。素直で元気のいいポコミはみんなの妹のように可愛がられていた。
 そんな彼女が特に親しくしている男友達に対してヘッポコ丸は複雑な気持ちを持っている。彼女の男友達は気難しい性格をしているが、ポコミに対しては形無しだった。
「ポコミちゃんならしょうがないなー。じゃあまた!」
「おう。また」
 影がひとつになる。首領パッチのカミングアウトを聞いてから、ヘッポコ丸はときどき不思議な夢を見るようになった。すべてを覚えている訳ではない。虫食いだらけの記憶は印象に残ったものだけが残る。
 自分がビュティや妹のポコミと良く似た人やほかの人(武器に手足が生えたり、マスコットのような明らかな人外もいたが)と関わったり、共闘したり、敵対したり……。
 首領パッチが言っていた未来の光景かもしれない、とヘッポコ丸は袋に入ったサッカーボールを蹴りながらぼんやりと考えていた。
「(さりげなく聞いてみるか)」
 横断歩道を渡ろうとしたが赤信号だったので立ち止まる。そんな常識ですら夢の世界に存在するのか怪しかった。漫才のような勢いでなんとかなるのかもしれない。それはさておき、彼は信号待ちをする。


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