アニメ版ブルードラゴン。二期。
※
妄想設定有。
アンドロポフ視点。
アンドロポフ→クルック。
イメソンはamazarashiさんの『命にふさわしい』です。
※お人形さんが酷い目に遭うので苦手な方はご注意下さい。
『命にふさわしい』
彼女に会っておれの世界は一変した。戦うことがすべてだったおれに、新しい価値観を与えてくれた。戦うことがすべてではない、未知の世界。そもそも最初は影を発動していなかったのに、なぜか影使いと一緒に旅をしていた。
もう一度彼女の自然な笑顔が見たい。おれのエゴで命令に背いた結果が、闇を解放してしまった。シュナイダーを犠牲に、おれは生き残ってしまった。花を愛でる彼女に出会わなければ敵同士でいられただろうか。彼女に鍵を渡すことなく、籠の中の鳥のまま作戦は成功したのだろうか。
「(クソッ)」
無力な己を呪う。全身の痛みと、やるせなさで、おれは悲鳴を上げることしか出来ない。どんなに声を上げてもシュナイダーからの返事はない。戦士として、死が身近にあることは日々心得ていた。今までは切り替えることが出来た。でも、今回は叫ばずにはいられない。それからどのくらい時間が経ったのだろうか、どこかに運ばれた。全身包帯巻きで視界は真っ暗だ。誰かが手を握る。その手は大きくない。おれと同い年ぐらいだろうか。
「――……必ず助けるから」
クルックだって分かった。彼女の声は疲弊しているように聞こえた。裏では助けを求めているような気がしたのだ。以前のおれだったら考えつかないようなこと。潔くシュナイダーとともに逝けなかったのは、クルックがいたから。シュナイダーはおれの気持ちに薄々勘づいていた。
クルックは戦いを怖がっている。だったらおれは彼女の盾となる。戦いに誘う者は誰であろうと彼女に触れさせない。戦場にいるときとは違う感覚。誰の命令でもない、おれが勝手に決めたこと。彼女の影の能力は失われた。無理をしてまで戦いに赴く理由はないはずだ。